秋深まる半国山山麓
「半国山」、中途半端な山名であるが故に、気がかりになっていた。山頂から播磨・丹波・摂津をそれぞれ半分ずつ望めるので、そう呼ばれているようだ。そして「丹波富士」とも言われていることを知り、ここを訪ねることにした。
この山は、亀岡盆地の西部に位置しており、滋賀県から出向くとなると、朝早い出発となった。赤熊バス停の登山口から深緑の音羽渓谷を辿り、頂上まで2時間弱で到着。念願の兵庫のあれこれの山々を見入ることができた。方向を定めながら地図を広げて、うっすらと大阪のビル影が見える見えないと・・・。
帰路は宮川コースをとった。
すぐに、ルリ渓・井出の分岐路があり、北東に向かって 尾根伝いに歩を進めた。 しばらく下るとまた分岐路があり、いちばん右よりの道を選んだ。 いつものことだが、下山の見通しがつき、だらだら道になると、色んな話が弾む。
どういう経緯か忘れてしまったが、突拍子に「千本の手足を持った観音さん知っている」と仲間から尋ねられた。
数年前、正妙寺の千手千足観音立像が開帳された時、拝観したことがあったので、
「知っている」。続いて「近々、長浜市高月町の観音堂が一斉開帳されるのを楽しみにしている」と・・・・。
湖北の観音像を広めた『星と祭』の井上靖まで話が及んだ。
思うところがあり、話さなかったことがあった。
「シリヤ砂漠の少年」詩集
───カチリ
石英の音
秋
中学三年生の時、友人からこの自作の詩を見せられ、井上靖氏が文学への洗礼を受けたという。たった三行の「秋」とは?
山道から山麓の古刹金輪寺に到着。舗装路をたどりのんびりとした集落を通過し、古い駐在所を右に見て、終点の宮川バス停に到着した。
いつのまにか四季が移ろい「秋」に、田んぼの土手に彼岸花が咲いていた。
石火光中に身をよす我が身、気がつけば、傘寿の秋か

不適切な内容や規約違反を発見した場合はご報告ください


