アジサイにホバリングする熊蜂
2018年08月10日

アジサイにホバリングする熊蜂

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nonio

• 野洲市

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 三上山の山麓に、手入れもされず半野生化したガクアジサイが植えつけられていた処を見出し、熊蜂などが飛びまわり、カナブンが花粉にまみれていた。こんな身近なところに、とてつも長い時の連なりをした自然に触れることができ、一週間ほど、熊蜂を追い続けた。

 望遠カメラ越しに熊蜂を覗き込んでみると、

つぶらな瞳まんまるな胴体に黄色い胸が何ともおしゃれだ。ずんぐりした体型に似合わず、花から花へとせわしなく飛びまわっていた。

真黒な個体でブーンと羽音をたて威嚇をしてきたが、襲うことはしなかった。

 初日、一匹の熊蜂が蜜を求めて、自らのテリトリーの花から花へと飛びまわっていた。一頻りこの作業が終わると、急に空高く舞い上がっていった。蜜を巣に持ち運んでいたのであろう。半時間ほど、あたりを伺っていると、いつの間にか舞い戻っていた。

次の日は仲間を連れてきたのか二匹になった。でも何だか仲が悪そうだった。

その後は、また一匹となった。なんとなく、私の存在を認めたようになった。彼を追っかけて何枚もの写真を撮った。

  鬱陶しい長雨の季節になり、我が家の庭にアジサイが咲きだした。

紫陽花の花を求めて、余呉駅から北に3㎞

紫陽花と達磨寺として知られている全長寺

へ向かった。更に余呉湖畔の「あじさい園」まで足をのばした。

 全長寺には色とりどりのアジサイが植えつけられていたが、最盛期には早すぎだった。余呉湖畔では京都新聞の者だと名乗り、「写真を撮っている姿を撮ってもいいか」と話しかけてきた。意外にも人で賑わい、記事取材まで行われていた。

 その後も、あじさい園・あじさい寺などに赴いたが、人ひとだった。その殆どの花は、極彩色に彩られゴージャスな大輪の丸形であった。

 ところが、私にとってのアジサイ花のイメージとは、随分かけ離れていた。

  かつて、三重県~滋賀県の山へ出かけて、山深い谷筋から流れ出る清流沿いの斜面に楚々と咲くアジサイと出合った。その形は、四角であった。中央に雄しべと雌しべの小さい花が密集しており、この花を引き立てるように飾り花が周辺部を縁取っていた。この形、額縁に似ているのでガクアジサイと呼ばれている。

 昆虫と花の共生関係は、人類が地球上に存在すらしていない中生代の後期、白亜紀 まで遡る。年数にしてなんと1億年とも言われている。

受粉の手助けをしてもらうため、気の遠くなる歳月をかけて四角の形に進化してきたのであろう。 

ところで、日頃街並みで目にする丸いアジサイは 江戸時代後期、より美しいものを求めて、野生植物の栽培化と品種改良が行われきた。昆虫を誘引する役目をしていた飾り花を球状に肥大化させたものである。今や、丸形が主流なり、手毬アジサイと呼ばれて、大勢の人に愛でられている。

 「昆虫と花」の共生から花が多彩に進化してきたが、 「人と花」の関係が生まれて、その形を四角から丸に激変させたのだ。それも、短期間に・・・・・。

 その結果、人好みに作られた丸形アジサイには人が集まってくる。だが、昆虫が全く寄り付かない妙な世界が出現している。

 三上山の山麓に、手入れもされず半野生化したガクアジサイが植えつけられていた処を見出し、熊蜂などが飛びまわり、カナブンが花粉にまみれていた。こんな身近なところに、とてつも長い時の連なりをした自然に触れることができ、一週間ほど、熊蜂を追い続けた。

 望遠カメラ越しに熊蜂を覗き込んでみると、

つぶらな瞳まんまるな胴体に黄色い胸が何ともおしゃれだ。ずんぐりした体型に似合わず、花から花へとせわしなく飛びまわっていた。

真黒な個体でブーンと羽音をたて威嚇をしてきたが、襲うことはしなかった。

 初日、一匹の熊蜂が蜜を求めて、自らのテリトリーの花から花へと飛びまわっていた。一頻りこの作業が終わると、急に空高く舞い上がっていった。蜜を巣に持ち運んでいたのであろう。半時間ほど、あたりを伺っていると、いつの間にか舞い戻っていた。

次の日は仲間を連れてきたのか二匹になった。でも何だか仲が悪そうだった。

その後は、また一匹となった。なんとなく、私の存在を認めたようになった。彼を追っかけて何枚もの写真を撮った。

 私が最も気に入った日陰のアジサイを選び、カメラのISO感度4000まで上げて、熊蜂を待った。

やっと撮ったが、シャッタースピードが1/250秒では羽根の写りが悪かった。

翌日、羽根が見えるように1/640秒にセットして、連写を試してみた。これが悪かった。連写音を警戒しだし、すぐさま、空高く舞い上がってしまった。

 それ以降私を完全に毛嫌いされてしまったようだ。私の存在を知るや空高く舞い上がっていくことが多くなった。それでも、密を見つけ夢中にむさぼっている時には、連写を許してくれた。

 何日も通っていると、周縁の飾り花がだらりと下がってきた。熊蜂も素通りしていくようになった。

この花には密がなくなったことを知っているようだ。 ありのままの自然界に自生している紫陽花に心癒された。

 手毬アジサイが結実しない無性花。雄しべや雌しべは退化し、人間の手によって挿し木や株分けで増やされている。

だから、勝手に一人歩きできないようだ。太古の昔から綿々と繋がってきた生態系を乱さないことを祈る。

ガクアジサイ(シャッタースピード1/640秒)

ガクアジサイ(シャッタースピード1/250秒)

ガクアジサイに集まる昆虫達

装飾花の球状に咲く艶やかな手毬アジサイ達

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