尼ヶ岳はススキで名高い曽爾高原に近いのか、頂上で花穂が微かに揺れていた。
既に、秋真っ只中。
山野に街に、我が家の庭にもやってきた。
妻は落ち葉を拾い集めて、秋色を慈しんでいた。
標高957.4mの尼ケ岳は、伊賀富士とも呼ばれている。尼さんが網代笠をかぶっているように見えるので、そうよばれるようになった。
この雄姿の全貌を目にすることはなかった。が、丸太で囲った階段道が山頂へと一直線にながながと延びていた。円錐形の山容だと伺い知れた。
今回の山旅は階段に始まり、階段で終わった。
限りなく歩幅の不変にいらだった。