憧れの木曽御嶽山コマクサ
2009年08月26日

憧れの木曽御嶽山コマクサ

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nonio

• 野洲市

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 2009年8月23日、木曽御嶽山に自生地している高山植物の女王「コマクサ」を見てきました。平年より咲き始めが遅かったようですが、大平原(賽の河原)と三の池の周辺の山並みに咲いていました。

               二の池から三の池の間にある大平原、(賽の河原)

                  日本最高所の最も深い湖三の池

 私が「コマクサ」に出合ったのは、青年時代、北アルプスの針ノ木峠から黒部湖の平ノ渡場に行く途中、蓮華岳(2799m)でした。尾根を登り詰、直角に曲がった足元に咲いていましたが、当時、ほとんど山野草に関心を持っていなかった私は、ここが、コマクサで有名な群生地であることも知らずに通り過ぎていったことがありました。その後、コマクサに出会っていたかも知りませんが、意識したことは、ありませんでした。この結果、花弁・葉の形作っている形状もイメージ出来ませんでした。ただ、淡いピンクの色彩だけが、あたかも残像のように深く刻まれて、そして、なぜか、気品を感じ憧れの花となっていました。

 火山土壌の荒れ地で常に砂礫が動き、他の植物がどうしても入れないようなところに、静かに咲いていました。しかし、土壌が肥沃になれば、他の植物にとって代わられる悲しい定めを持っています。その上、昔、コマクサは、古くから腹痛の妙薬として知られていました。御岳では登山記念として、コマクサを「オコマグサ」という名で、一株一銭で登山者に売られて、刈り取られていたこともありました。

 ところで、咲くところは、風の通り道で、花弁も直ぐに痛み、まともな花弁が中々見つかりません。探し探して、一番美しい顔をした可憐なコマクサです。恥ずかしそうに下を向いています。

            一番美しいコマクサの花弁

 よく見詰めてみると、花びらは4枚で外側2枚は、えらそうに先が反り返り、見事な曲線美をしています。内側2枚は、やや小さく、くっついてすんなり突き出していました。見れば見るほど奇妙で複雑な構造をしています。長年かかって進化してきた結果、不思議で魅惑的な姿に変身して見詰め返してきます。

 花が終わり果実を着ける頃には、風も益々強くなります。花茎は折れて、砂礫地を転がり、種子が辺りにばら撒かれます。種から花が咲くまでに7~8年かかります。 写真の立派に育ったコマクサは、なんと20年程度…。


                    コマクサ20年程度

 名前の由来は、「”コマ”は子馬が転じて”駒”」となったようです。確かに、写真で、可憐なコマクサの左後ろのつぼみは、馬面に似ています。そして、この花を「高山植物の女王」と呼ばれるようになりました。

 北海道層雲峡の名付け親でもある大町桂月は、北海道各地を旅行してその魅力を紀行文で紹介します。

『大雪山物語』でコマクサについて触れています。
「凌雲岳を右にして行くに、御花畑連続す。御山竜胆は紫也。雲間草は白也。蝦夷小桜草は紅也。兎菊は黄也。梅鉢草、岩桔梗、四葉塩釜など一面に生ひて、足を入るるに忍びざる心地す。石原の処には駒草孤生す。清麗にして可憐なる哉。これが高山植物の女王なるべしと云へば……」
この紀行文から「高山植物の女王」が定着したようです。

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