辺野古県民投票から考える市民自治 2019/03/01
2019年03月01日

辺野古県民投票から考える市民自治 2019/03/01

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• 近江八幡市

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                     代表理事 阿部 圭宏

 2月24日に投開票された沖縄県の「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」は、3択のうち「埋め立て反対」が43万4273票で投票総数の71.74%を占め、大多数となった。反対票は、投票資格者総数(115万3591人、24日見込み)の37.65%となり、県民投票条例に基づいて知事に投票結果の尊重義務を課す4分の1を超えたため、知事は首相と米大統領に結果を通知すると言う。

 この県民投票の詳細については多方面で論評されているが、ここでは市民自治の観点から住民投票を考えてみたい。

 住民投票には、憲法で定めるもののほか、地方自治法に定められた条例の制定・改廃を首長に求める直接請求という方法、自治体が住民投票条例を制定して実施する場合とがある。いずれも、議会制民主制が基本としている統治システムの中で、直接民主制の仕組みと位置付けられている。

 今回の県民投票は、地方自治法に定められた条例の制定・改廃を首長に求める直接請求で、「辺野古」県民投票の会は、直接請求の要件である署名を2か月間で有権者の50分の1以上集める必要があった。県という広域での署名活動が非常に難しい中で、実際に集まった総署名数が100,950筆、有効署名数が92,848筆となり、直接請求に必要な約23,000筆を大きく上回ることとなった。

 直接請求を受けて、知事は県民投票条例案を議会の上程し、賛成多数で議決された。市民参加の意義づけが実感された瞬間であったが、その後、実際に県民投票が実施されるまで、紆余曲折があったものの、率直に県民投票が実施されてよかったと思う。

 これまでの住民投票の中には、投票率が50パーセント以上ないと開票をしないという場合があった。投票に参加していない住民に対しても投票結果に 信頼性を持たせることを意図しているからだという説明がなされるが、住民投票を成立させないためにボイコット運動が起きる可能性もあり、投票に行くこと自体が賛成する行動とみなされてしまう危険性をはらんでいる。最低投票率を定めることがおかしいのであって、県民投票条例でそうした制約がなかったことは評価されるべき点である。

 そもそも住民投票という手法に疑問を投げかける人もいる。しかし、今回の手続きはあくまで地方自治法に基づくものであり、これを否定することは日本の統治機構そのものを否定することに他ならないし、ポピュリズム批判もあたらない。また、県民投票結果を見て、全有権者に占める割合のみを際立たせることで、県民投票そのものを否定しようとする動きもある。仮に全有権者に占める割合が低いとかを言い出したら、通常の議員や首長の選挙そのものも否定することになってしまう。こうしたダブルスタンダードで論評することは根本的におかしい。

 正当手続きに基づいて行われた県民投票の持つ意味は大きい。これは何も沖縄だけの問題ではなく、県民投票結果を受けて、本土に住むわれわれが何をすべきかを問われている。 


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