丹生ダムの一時凍結宣言
最近、八ツ場ダム・川辺川ダムの建設中止などで新聞・TVを賑わしていた。これに引き続いて、前原誠司国土交通相は9日、国と独立行政法人水資源機構が進める全国56のダム事業のうち、48事業について「2009年度内に新たな段階には入らない」と述べ、(1)用地買収(2)付け替え道路などの生活再建工事(3)ダム本体建設のために行う流路の切り替え(4)本体工事について、新規契約を結ばず、事業を一時凍結することを表明した。
この48ダム事業の中に、滋賀県内の丹生ダム(余呉町)・大戸川ダム(大津市)が含まれていた。尚、大戸川ダムは、既に事業凍結状態になっている。
丹生ダムについては、本体工事がまだ未着工で、総事業費1100億円のうち約550億が投じられている。
今年、4月29日、安蔵山へ行く途中で、丹生ダムの建設予定地に踏み込み、このダムの建設を知った。現地に立って見ると、丹生地区から菅並地区まで建設用道路が整備され、周辺準備が整っているのに、本体のダムが建設される気配がなかった。
異様に見えたのが、北海道トンネル…なぜ、「北海道」なのかよく分からない。田戸集落も人が引き払って無人化し、この先の中河内へ通ずる道路も閉鎖されていた。更に、独立行政法人水資源機構の所有地であるとの立て札もあった。工事が進捗しているのかどうかよくわからない。辺りは活気もなく静寂であった。
詳細は→安蔵山・丹生ダムを憂う
小生にとって、丹生ダムの行方は非常に気になっていた。兎に角この一帯が、中途半端に見え、住民も落ち着かないのではないかと思った。
このダムに関しては、嘉田知事と丹生ダム対策委員会の溝が埋まらず計画も二転三転していた。そこに、今回の突然の一時凍結には、戸惑いの声が上がった。丹生ダムの対策委員長は「これまで、どんな内容の発表でも必ず地方整備局から事前に説明があった。長年築いてきた信頼関係を無視する行為だ」と憤りを隠さなかったとの報道があった。(10月10日讀賣新聞)
現地の人達が国の政策に翻弄され、真に気の毒に思う。「国家百年の計」は、将来を見通した計画にすべきであった。当時の建設省近畿地方建設局により治水・利水を目的に計画は、「ダムありき」から出発していたのではなかろうか。豪雪地帯で深い谷筋のあるここは、丹生のダムを造る最適の地形であった。この点に着眼して、後は色々と理由付けしたのであろう。腹立たしい。
いずれにしても、今回の「丹生ダムの一時凍結宣言」を機に、新たな方向を見出してほしい。
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