厳冬期の山本山から賤ケ岳縦走

2月23日(土).天気が悪化していたが、兎に角「山本山から賤ケ岳」の縦走に出発していった。
山行2日前、彦根在住のメンバーから「今、この辺り、かなり雪が降っている。この山行を中断してはどうか」との連絡も入っていたが、縦走路は尾根道なのでなだれの危険性も少なく、また、雪庇も発達しないだろう。また、雪に阻まれ前進ができなくなっても、いたるところに峠道があり、エスケープできる。すでに2回も下見を行い、調査してきた上での判断であった。

標高が高くなく、手軽に山歩きができるところである。が、一旦「どか雪」が降ると手こずってしまうので、「わかん」も準備した。何が幸いするか判らないもので、途中待ち合わせ時間の手違いもあり、山に取りついたのが、計画より遅れた。そのため、すでに先人者達によってトレースをつけてもらい、大いに助かった。
縦走路は琵琶湖の湖岸線沿いに付けられた自然がそのままの形で残されたハイキングコースである。「遊歩百選」にも選定され、「湖の辺の道」と名づけられている。2日前からかなり雪が降り続いたのであろう。コースの両脇の木々は雪の重みに耐えかねた枝がたわわに曲がり、行く手を塞いでいた。この手荒い自然の洗礼に対して文句を言うわけでもなく、むしろ、喜んで受け入れていた。四季の中で、すべてを真っ白な雪で包み込んでしまうこの時期は純白無垢になり、すっかり心まで洗われてしまう。冬季ならではの雪の幻想的な世界に、汲めども汲めども尽きない美しい自然を見出していた。


山本山の頂上から樹間越しに、琵琶湖の尾上港、琵琶湖に浮かぶ「竹生島」が薄っすらと確認できた。

無雪期では快適な水平道であるが、少してこずりながら進んだ。途中、西野集落から片山集落の通学路だった峠を越え、熊野集落に通じる峠も通過していった。さらに木戸峠と、山本山から賤ガ岳の縦走路を横切るように峠道が付けられている。村人の生活路であり、小学校の通学路であったが、いまは使われなくなったようだ。
右手に眼をやると、眼下には、十一面観音像のある集落がすっかり雪に埋もれていた。ひとつひとつ訪れた集落にひときわ深い郷愁の念をもって眺めていた。遠くには浅井長政の居城跡「小谷山」から金糞岳、己高山、横山と湖北の山々が静かに横たわっていた。

丸山(361m)三角点までやってくと、縦走路のヤレヤレ後半の行程になった。雪道は意外にくたびれるものだ。これより下りになり、再び上り返していくとリルト終点についた。あと20分程度で賤ヶ岳の頂上を踏めるが、見て入間に吹雪出し辺りの風景がかき消されていった。下山することにした。全員が雪の縦走路を無事に渡りきったことに満足しながら、チャーターしていたバスを待たせてある大音にむかった。
途中、一人の青年が丸山の登り口辺りで通り越していった。我々大勢で雪を踏み固められ歩きやすくなったのであろう、山本山の取りつきを2時間遅れであったが、追いついてきた。これから、大岩山を越えて余呉駅に行くと言っていた。吹雪に出遭っているだろうが、 やはり、若者は怖いもの知らずで馬力がうらやましい。でも、小生もそんな時代もあったのだが・・・。

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