2025年05月02日
タンポポ綿毛の幾何学模様
春の野に咲くタンポポは、種を飛ばす時期になると、芸術作品のような姿に変わります。白い綿毛が集まってできた、美しい球体の形を見せてくれます。
花が咲き終わった後に現れるこの白くふわふわした球体は、完璧な「球」の形をしています。中心から放射状に綿毛が伸び、どの方向にも均等に広がっている様子は、カメラで捉えることができる美しい光景です。それぞれの綿毛の先には、次の世代のタンポポとなる種がついています。
しかし、写真では見えにくい秘密が、タンポポにはあります。実は、綿毛が飛び立つ前の黄色い花の状態で見ると、中心部の種の配置には「フィボナッチ数列」という数学的なパターンが隠れているのです。
フィボナッチ数列とは、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13...と続く数列で、前の二つの数を足すと次の数になるという単純なルールでできています。この数列に従って種が並ぶと、ちょうど中心から外側へと効率よく密度が調整された美しい螺旋模様が形成されます。写真ではこの精密な配列を捉えるのは難しいですが、実際に花を分解して観察すると、その規則性に驚かされます。
この配置には実用的な意味もあります。中心部が過密になりすぎず、外側がすかすかになることもなく、限られた空間に効率よく多くの種を詰め込むことができるのです。これは、植物が長い進化の過程で獲得した知恵の表れです。
綿毛が風に舞う姿は目に見える美しさですが、その背後には目には見えにくい数学的な美しさが隠れています。タンポポは、目に見える形だけでなく、その成り立ちの原理においても、自然が生み出した芸術作品なのです。




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