政治と経済 2013/10/02
2013年10月02日

政治と経済 2013/10/02

しがNPOセンター

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• 近江八幡市

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                      しがNPOセンター 代表理事
                        阿部圭宏

 「政治」「経済」という言葉は、よく一緒に使われる。この2つの言葉は切っても切れない関係にある。これに「社会」を加えると、今の世の中を動かす言葉と言ってもよいくらいだ。最近の政治状況を見ると、政治の主要課題は、経済といっても過言ではない。金融緩和、財政出動、成長戦略を柱とするアベノミクスはもとより、日本政府だけでなく、多くの国における政策の中心に経済が置かれている。これは近代国家の成立とともに、資本主義が広く浸透してきた結果とも言えよう。

 確かに、経済が好転すれば社会全体がよくなるという経済至上主義とも呼ぶべき考えが根強くある。そこには、経済が活性化して、その恩恵が富者だけでなく貧者へもこぼれ落ちるようになるトリクルダウン神話が存在する。こうしたトリクルダウンを信じ、今の日本の円安・株価上昇の動きを一般市民が固唾をのんで見守る姿に、何とも滑稽なものを感じる。かつてのバブル景気やリーマンショックにあれだけ懲りたはずなのに、何の反省もなく同じ道をとろうとしている姿と重ね合わせてみるとよい。

 では、政治とは何か。政治という言葉は多義的であり、一言で政治を表すことは難しいが、政治の果たすべき役割が、人の生存や生活をよりよくする活動だとすれば、おのずとその役割ははっきりしている。日本の現状に照らし合わせれば、マネー資本主義をあおるのではなく、雇用を確保し福祉を充実することなどを政策の中心に置くことで社会を安定していくことが求められる。政治に反映していくためには、マネー資本主義に対抗していく仕組みを市民も提案していく必要もあるだろう。

 今回は、日本の政治と経済を考える上で参考となる新書3冊を紹介しておく。

 杉田敦著「政治的思考」(岩波新書、2013年)は、政治の常識と言われるものを一つずつ取り上げ、それに論考を加えている。決定、代表、討議、権力、自由など政治にはおなじみの仕組みや用語が出てくるが、市民自らが政治に向き合う上で参考になる。

 猪木武徳「経済学に何ができるか」(中公新書、2012年)は、経済学が経済問題に一刀両断に明快な答えが与えられるものではないという視点から、経済学が扱う諸問題について取り上げている。答えはすぐに出なくても、経済学の論理を学び、その限界を知り、経済の論理だけを言い募らない品性が求められると説く。

 藻谷浩介+NHK広島取材班「里山資本主義」(角川oneテーマ21、2013)は、マネー資本主義に対抗すべく、地域内での経済循環をめざす取組みを取り上げている。内橋克人の言う共生経済と同じく、これからの日本の進むべき道を示しているのではないか。

 マスコミで流される情報に右往左往されるのではなく、自分の意思を持つために、良本を多く読みたいものだ。


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