未来をどのように描くか
しがNPOセンター 代表理事
阿部圭宏
新年を迎え、さて今年はどのような年になればよいとお思いだろうか。日本全体でみると、人口減少、少子化と超高齢化が進む中、課題山積でなかなか将来ビジョンはこれだと描くのは難しいと言えるだろう。これまで、政治・行政の仕組みが変わればよくなる、改革すればよくなる、規制緩和すればよくなるなど、あらゆる場面での変革マインドを梃子に、政治・経済・社会の今後が語られてきたように思われる。
こうした改革の先には、経済成長による豊かさを追い求める風潮があった。日本社会を見てみると、戦後復興、高度成長から成熟社会へと変わってきた現在においても、思考の根本に経済成長という言葉が関係しているように思われる。経済成長第一主義という幻想は、グローバル化の流れの中で勢いを増している。生産拠点の海外移転、TPP、法人税減税、円安誘導などは、グローバリゼーションへの対応というより、グローバリゼーションを一層進めようとする動きともとれる。
しかし、グローバルな動きだけを見ていては、われわれが暮らす地域社会の将来への展望が見えない。地域社会での暮らし方、生き方をもう一度考える必要がある。グローバルな視点だと、グローバルな競争に勝ったものしか生き残れない。そうなると、地方都市、中山間地を含めた日本中の地域のほとんどが疲弊したままで、結局、話題になっている消滅自治体を多数生み出すこととなる。
そこで、もう一度考えてみたいことは、民主党時代に進められた「緑の分権改革」の思想である。これは、「地域から人材、資金が流出する中央集権型の社会構造を分散自立・地産地消・低炭素型に転換し、地域の自給力と創富力(富を生み出す力)を高める地域主権型社会の構築を実現しようとするもの」で、時代にマッチした考え方だった。もう一度、緑の分権改革に学んで、小さくても自立できる仕組みを地域にいくつもつくることができれば、未来は決して悲観すべきものではないと思う。
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