希望が丘食虫植物(コモウセンゴケ)
私が、希望が丘で食虫植物に出会ったのは、数年前植物観察会に参加した時であった。青年の城からスイセン池に行く途中、比較的日当たりよい土手で、「これがコモウセンゴケです」と説明を受けました。虫眼鏡で見なければ判らないほど小さい植物でした。植物園などで見られる優雅な筒形をした壷を持った食虫植物のイメージと余りにも離れていたので、関心もなく聞き捨てていました。
6月12日、「希望が丘を歩こう」ハイキングに参加しました。この催し22年度は6回計画されています。2回目「湿原の稀少植物を見に行こう」のテーマで開催されました。
鏡山頂上から青年の城にかけて東南に広々とした山麓が広がっています。そこには、2本の小川が流れ、湿地帯ができ、各種の山野草が生育しています。ここを散策するのです。一般のガイドブックでは紹介されていない秘境がこんな身近なところにあるのかと驚かされます。ただ、山稜を知り尽くした者でなければ、辿りきる事ができません。それほど、手付かずの自然が残っています。
私は、参加者の最後尾につけ、落伍者などの見張りを兼ねて、参加者の人数確認の役目をしました。「のとの千軒」のコースは、小川も流れ湿地帯もあり、ささゆりを始として色々な山野草が生息しています。
参加者のひとりが、あっちこっちと辺りを頻りに探しだしました。その人だけが遅れ気味になりましたが、あまりにも真剣に探していたので「遅れないように」と催促をしませんでした。

そのうち、見つけたのが、「コモウセンゴケ」でした。
先行する団体にお構いなしに、私も土に這いつくばってこの植物を眺め始めました。
地面から葉茎が放射状に出ていました。葉身はほぼ円形で、一面に長い毛があり、その先端には粘液が付着していました。粘液を出す腺毛があるのでしょう。触るとべたべたしていました。この粘液に虫をつけてしまうようです。粘毛は、虫寄せに関係があるかのようにドギツイ赤色をしていました。
この一帯は風化した花崗岩は風雨で運ばれやすく土壌が発達しないので、この丘陵地にはやせ地に強い植物ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、コモウセンゴケ、イシモチソウなどの食虫植物が見られます。
ここ痩せた湿原や岩場では、光合成による炭水化物しか作れず、タンパク質を作るのに必要な窒素成分の補給ができないので、虫を食べてしまうまで進化したようです。
植物は黙っておとなしいと思われていますが、その本性は、極めて獰猛のようです。十分に栄養が行き渡ったのか、小さい桃色の花を咲かしていました。

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