琵琶湖の氷の造形「しぶき氷」
日本上空に寒波が襲来し、1月12日は北陸を中心に日本海側や山間部で大雪となった。新潟県三条市の踏切付近で走行不能になり、乗客約430人が車内に閉じ込められたニュースとなった。
滋賀県も雪景色となった。歌川広重の暮雪比良を描いたとされる箇所を探し、伊香立・守山を自動車で乗り回していた。
湖岸道路の守山市湖木浜町あたりで、カメラを持ってうろついている人影を発見。何かあるな~と察知して、駐車場に寄ってみた。
「ここで、何を撮っているのですか」と尋ねると、「しぶき氷、です」との余り聞きなれない返答。
数人の方が、しゃがみこみ思い思いのお気に入りの位置で、シャッターを切っていた。
この日は、比叡山の並びの山々の吹き降ろしの北西の風が思いのほか強く、波が岸辺に繰り返し打ちつけられ、飛沫が舞い上がっていた。水浸しになった木の枝には数センチのツララ状に氷が垂れ下がっていた。13日、大津市最低気温-2℃ 最高気温6℃だった。女性のカメラマンは「昨日のしぶき氷はもっと長かった」と言っていた。
兎に角、寒かった。底冷えと言うより、帽子が飛ばされそうな強烈な風冷えであった。
寒さからくる血行不良のせいでシャッターを圧すにも、意のままにならない。自動車に戻っては、指先を温めなければ用をなさなかった。
次の日、日本海から寒波が日本列島に入り込み、夜中から大雪となった。
接写できるマクロレンズで、「しぶき氷を写してみよう」と、万全の仕度で、朝早く同場所にいそいそ出かけた。
だが、全ての木の枝から「しぶき氷」が忽然と消えていた。
最低気温が氷点下の日が続いても、強い風が吹かなければ事が始まらないようだ。
岸辺の樹木に氷着する現象は、きわめて珍しいと言われている。昨日は、運よく貴重な自然の営みを眼にすることができ、 満たされた日となった。
太陽の光を浴びた「しぶき氷」


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