地方分権の推進とNPO政策 2013/07/05
地方自治体のNPO政策や協働政策は、自治体ごとにかなりの違いがある。市川市の1%支援制度、佐賀県の協働化テストなど、拾い上げるとユニークな取組みも結構ある。特に、協働という面を捉えてみると、明らかにこれは自治体が中心になって取り組んできていることが分かる。全国に先駆けて横浜市が策定した「横浜市における市民活動との協働に関する基本方針」(横浜コード)は、全国で進められている自治体の協働推進の一つのモデルになってきた。
NPO政策、協働政策は、内容は多岐にわたっているが、それをもってNPO政策や協働政策が進んでいるとは言い切れないところに実は問題がある。自治体とNPOとのパートナーとしての関係がしっかりと構築されているのか、あるいはNPO基盤強化のための支援策になっているのかなどを見ても、疑問を感じるような内容であることが結構多い。しかも、例えば、大阪府のように首長が替わってNPO支援や協働事業がなくなったり、滋賀県のように首長は同じでも、突然協働政策に関心を示さなくなったりすることもあるので、そこで活動している市民、NPOにとっては自治体への不信が強まることもよくある話だ。
新しい公共支援事業は2011、2012年度の2年間実施されてきた。これは内閣府が予算化したものを都道府県に交付し、都道府県ごとに事業を行う仕組みで、2年間に約87億円もの税金が投じられている。この事業は、交付金であるにも関わらず、ガイドラインが定められ、それに沿って行うよう要請された。この分権の時代であれば、自治体側が自由に設計して取り組むことが肝要であるはずだが、国もNPOも自治体を信用していないことが、このガイドライン策定に端的に表れていると言えるだろう。
確かに、ガイドラインが定められているにも関わらず、既存事業の財源補填に利用する自治体や、しっかりとNPOと向き合って事業内容を詰めてこなかった自治体もあるので、国やNPOの心配はあたっている面もある。ただ、自治体が動かないからと言って、かつての中央集権的発想で国にすべてを委ねるというのはいかがなものか。特に地域に根付いて活動していこうとする市民、NPOとっては、自治体の統治能力を高めることが地域運営に欠かせない要件となる。うちの自治体はダメだと嘆いてばかりでは前へ進まない。地方分権の時代に自治体を育てるのも市民、NPOの大きな役割なのだと自覚して、行動をおこしていく必要があると思われる。
不適切な内容や規約違反を発見した場合はご報告ください