希望が丘のノハナショウブ
2013年08月09日

希望が丘のノハナショウブ

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nonio

• 野洲市

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 鏡山の南側には、なだらかな丘陵地帯がひろがっています。規模が小さいが、なだらかな起伏の続く地形に、二本の小川があります。谷間を蛇行しながら、絶えることなく清らかな水が流れています。この川沿いに山野草が育っています。

 梅雨時には、すずやかな姿をした”ノハナショウブ”を見ることができます。 今年も昨年と同じところに数本が咲いていました。シダなどの草むらから、葉をつけずにすらっとした細い花茎が伸び、その先に赤紫色の花をつけていました。花の付け根には黄色の筋が観られましたが、この色合が、ノハナショウブの特徴なのです。 葉っぱが剣状の”ショウブ”に似ており、花が咲くので、「ノハナショウブ」と言うようです。取ってつけた「ノ」は重要な言葉なのです。野生種と園芸種の花菖蒲(ハナショウブ)を区別されています。

 希望が丘に咲く”ノハナショウブ”

 6月22日、三田市にある三国ヶ嶽へ行った時に、関西でも有名な永沢寺の花菖蒲園に寄ってきました。3万3000平方mの敷地に、全国各地から選ばれた優良種のハナショウブ650種 300万本が植え付けられていました。ノハナショウブは赤紫色だけの一色だけですが、ハナショウブは、白、黄色、青紫、赤紫と多彩な色合があり、さらに絞りや覆輪などの変化がありました。
 これらのハナショウブは、たった一種類の野生種ノハナショウブから、「よくここまで多数の園芸種が作り出されましたのか」と感心さされました。特に、改良が進められたのは江戸時代後期ですが、もっと古から愛好家たちによって、それぞれの好みに応じて、改良されてきたようです。江戸っ子気分を表現した江戸系、武家の室内で鑑賞するための肥後系鉢で栽培された伊勢系の3系統に大分類され、原種の特徴を強く残す山形県長井市で伝えられてきた長井古種など人の手によって生み出されました。

 見事に豊かで艶やかになったハナショウブの花弁を見て回っている内に、ささやかな発見があり、ひとり悦に入っていました。外側の外花被に黄色い筋を見つけました。これは、ノハナショウブが元々備わっていた証なのです。

永沢寺の花菖蒲園のハナショウブの咲き乱れ



 今年、高島市今津町深清水の平池に、自生しているアヤメ科のカキツバタを見てきました。カキツバタとハナショウブ(ノハナショウブ)の葉は、剣状で、花の色も紫色でよく似ていました。大きな違いは、ハナショウブの花が抜きんでて咲いていますが、カキツバタの花は、葉の位置より低いことが多く、花の見栄えが、少し悪いようでした。
 カキツバタ園はそれほど多くはありませんが、花菖蒲園は色んな場所に設置され、多くの人に人気があるのは、こんなことが一因かもしれません。

 「いずれがあやめかかきつばた」は、あやめとかきつばたが、似かよっていて見分けにくいとことから来たことわざがあります。これにハナショウブが加わって、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブ(ノハナショウブ)が、三つ巴になって見分け方を難しくしています。
確かに、アヤメ科の花は似かよっていますが、花びらの根元に網目があったり、白の筋があるとか、黄色い筋など花弁の色合に違いがみられます。これら子細に観察することにより、微妙な差異を発見しては、その違いを楽しんでいます。

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