京都・四条通山鉾建て
京都の盆地に囲まれた小世界で行われる出来事を逐次、捉えては、四季の移り変わりを楽しんでいる連中に誘われて四条通りにやってきました。
蒸し暑い京都になると祇園祭が始まり、笛と太鼓で「コンチキチン」と優雅で独特の旋律を奏でながら、山鉾の巡行がくりひろげられます。美術工芸品で装飾された重要有形民俗文化財の山鉾は「動く文化財」と称されています。
特に、目を引くのは辻回しと呼ばれる鉾の交差点での方向転換です。不器用な鉾は直進しか進めず、路面に青竹を敷き、水をかけ滑らして向きを90度変えさせなければなりません。これをみるため、全国から多くの見物客が押し寄せます。
ところで、彼らにとっては、17日、祇園祭のクライマックスといわれる山鉾巡行には、行かないようだ。大勢の見物客が押し寄せ、うんざりとのこと。
むしろ、山鉾の組み立てが始まる祭り前の余韻を楽しもうと言うのです。色んな楽しみ方があるものです。
1週間ほど後の祭りを控え、巨大な鉾を組み立てる「鉾建て」が、四条界隈を中心とした地域で繰りひろげられていました。
まず訪れたのは、古来より先頭を巡行する長刀鉾でした。彼らの説明によると「鉾頭に大長刀を付けている長刀鉾は、古来より順番を決めるくじを取らない事からくじ取らずと言われ、17日の山鉾巡行では、32基の山と鉾の先頭を行進する最も中心的な鉾です」と小生に丁寧に話してくれました。

地下足袋を履いた職人の人達が手際よく、くぎを使わず縄だけで木材を固定する「縄がらみ」と呼ばれる伝統技法で骨組みを組み上げていました。さすがに、底部は縄だけでは強度不足のためロープが巻きつけられていました。「宵々々山(よいよいよいやま)」の14日までには織物などの装飾品で豪華に飾り付けられるようです。

この日は巡行の先頭を進む長刀鉾(なぎなたぼこ)のほか函谷鉾(かんこぼこ)や月鉾、鶏鉾、菊水鉾などの作業も始まっていました。四条室町の交差点は四つの鉾町が接しているところから「鉾の辻」といわれます。
函谷鉾(かんこぼこ)は、既に組み立てが終わり、2~3名のガードマンが24時間体制で監視をしていました。鉾の前には表示板が立てられ、説明文によると「鉾の名は中国戦国時代(前403〜221)斉の孟嘗君(もうしょうくん)が鶏の声によって函谷関(かんこくかん)を脱出できたという故事にちなんで付けられている」。

これから組み上げていく真っ最中で、狭い通りを行き交う人、組み上げていく人が入り混じり、更に見学する人でごった返していました。

4人で行ったが、2人とは京都駅で別れて、小生と、なぜか気の合うもう一人と、長刀鉾・函谷鉾・月鉾・鶏鉾・菊水鉾を「さかな」にして、いっぱい、またいっぱいとかなり酔ってしまった。
今日は、絢爛豪華な山鉾巡行でなく、奥ゆかしい一面を垣間みて、京都の長い歴史の深さを感じつつ、充実した1日を満喫しました。
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