2016年04月01日

女性が活躍できる社会にするには

しがNPOセンター

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• 近江八幡市

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           しがNPOセンター 代表理事
                                 阿部圭宏

 人事異動の季節だ。自治体では、4月1日付異動が慣例化していて、何かと騒がしいが、今回は話題になっている女性活躍と関連付けて考えてみたい。

 大津市では、教育委員長が新制度による教育長に任命され、女性教育長が任期を残したまま辞任して、教育長に任命される前の教育次長に改めて任用されるという報道があり、実質的な降格となった。同市の行革の集中改革プランでは、女性職員の積極的登用をうたっているものの、実態はなかなか追いついていない様子がうかがえる。

 滋賀県の人事異動では、これも新聞報道によると、課長補佐級以上の管理職に占める女性職員の割合を2015年度より0.3ポイント高い10.8%に拡大したとのことである。これは、女性を積極的に登用しているという評価ができるようにも見える。確かに、県の行政経営方針の実施計画(2015年3月策定)には、「女性職員の活躍推進のための取組方針」(2014年度策定)に基づき、女性を積極的に登用するとしている。ここでの数値目標は、管理職に占める女性職員の割合が2018年度までに10%以上と書かれている。目標とすべき数値が計画時点ですでに達成されている。言い換えれば、そもそもの数値目標がいかにも低すぎるし、その上、これくらい確保できていれば、十分なんだという県当局の姿勢が垣間見える。部長級にも2名の女性職員がいるが、いわゆるラインの部長はいない。

 女性活躍推進法が4月1日から施行された。これにより、働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために、女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表や、女性の職業選択に資する情報の公表が事業主(国や地方自治体、一定規模の民間企業等)に義務付けられることとなった。

 過去の事例を見る限り、週休2日制、育児休業や介護休業などの仕組みは、公務員労働者に先行的に実施されるようになり、民間が後追いしている状況である。北欧やフランスなどでは、女性の社会進出を進める仕組みとしてクォーター制というものが採用されている。そもそも、クォーター制は、政治における男女平等を実現するために、議員・閣僚などの一定数を女性に割り当てる制度として、北欧諸国などで実施されているもので、近年では、企業の役員についても同様の規定を設ける国が出てきている。

 こうしたことから、自治体の女性の活躍推進に向けた行動計画には、女性の積極的な登用のため、クォーター制を取り入れた計画となるような積極的な姿勢が必要だ。あわせて、最近話題となっている待機児童問題をはじめ、介護離職、長時間労働など、種々の課題を解決し、女性が輝き活躍できるような社会になることを政府や自治体、企業が積極的に動くようにすることが大切だ。市民としても、行政や企業の動きをしっかりと見ていく必要がある。

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