「三大神社の藤」ツル右巻きそれとも左巻き
2017年05月23日

「三大神社の藤」ツル右巻きそれとも左巻き

N

nonio

• 野洲市

詳細

  図夢のクラブの仲間が、撮ってきた写真を見ながら、JR草津駅の北に位置する三大神社「藤まつり」の話で盛り上がった。

 ここが、 関西での藤の名所にも選ばれていることや、4月27日~5月10日サンヤレ踊り・尺八などの盛大なイベントが行なわれていたことも知った。

私は、今迄、雑木林の林縁に紫色を見つけては、フジが咲いているな~、と感じる程度であった。が、兎に角、家内を連れて藤園に出掛けてみることにした。

  ゴールデンウィークも済み、藤の見頃が終わっていたが、まだ多くの人で賑わっていた。

 三大神社の境内には、房が地面に擦れるほど長くなることから「砂擦りの藤」と呼ばれる老藤が見られた。言い伝えで樹齢400年とされている。蔓同士が巻き合って上に登り詰め、人手で天蓋に丁寧に蔓を這わせたように樹冠を藤棚一杯に広げ、隙間から花房を垂れ下げていた。

 一輪一輪はごく小さな花であるが、何連もの房状になるとぜいたくで、はなやかだ。

垂れ重なり合っているところを見つけては、人が入っていたので、それに習ってみると、そこは、紫色の高貴な世界であった。

 三大神社神社よりほぼ700mのところに志那神社と惣社神社があり、ここには、訪れる人もなく、しっとりとしていた。

なお、三つの藤を合わせて 「志那三郷の藤」と呼ばれている。

三大神社の「砂擦りの藤」

惣社神社の藤

惣社神社の藤

 私は家庭菜園をやっていると、山芋や三度豆などのツル植物は、どちら回りに巻き付くのか、つい気になってしまう。

この「右巻き」と「左巻き」はわかるようでわかりにくい。

 ツルの巻き方は、上から見た場合と下から見あげた場合では逆になる。上から見ることにしても、ツルのたどり方によって変わってくる。とても複雑である。

 フジには2種類があり、ノダフジ(野田藤)とヤマフジ(山藤)として命名したのが第一人者 牧野富太郎である。「右手で握って親指方向に進むものを右巻き、左手で握って親指方向に進むものを左巻き」として指導され、ノダフジが右巻きで、ヤマフジを左巻きと決めた。

つまり、ツルの巻き方で、品種が分かるのだ。

幹が他の木を伝うこともなく、つる同士巻き付いた痕跡模様の判断には、以下の判断方法が有効であろう。

 正面から見て

 ノダフジは、 「ミ」のように左側が上がっている様に見える ⇐右巻き

 ヤマフジは、 「彡」のように右側が上がっている様に見える⇐左巻き

この定義に照らし合わせて「砂擦りの藤」の紋様は、「彡」のように見える。

巻き方からすれば、ノダフジでなく、 ヤマフジなのであろうか? 

  ノダフジとヤマフジは、花の大きさ・花穂の長さ・花の咲き方など違いがある。例えば、ノダフジは枝先に長い花序を垂らし、基部から順次に咲いていくが、ヤマフジは、花序が短く一斉に咲くなどの特徴がある。これらの総合的な観点から観察する必要がある。正直よく分からなくなった。

尚、志那神社と惣社神社の藤も同じように「彡」のように見えた。惣社神社の藤は藤原氏の隆盛を祈念して、倉橋山の藤を移植したようである。

三大神社の「砂擦りの藤」の幹の痕跡

三大神社の「砂擦りの藤」品種はノダフジとの標示板

 牧野の方式が学術用語の一般的な設定方法と異なり、最近では、右左の呼称が逆転している。

つる植物の右巻きと左巻き

 つるが右巻きか左巻きかの呼び方が変わっただけで、フジにとっての本質的なことは、何ら変わりがない。

不適切な内容や規約違反を発見した場合はご報告ください

この記事を書いた人

N

nonio

1週間前から参加
野洲市

ユーザー詳細