2014年11月07日

合意形成を目指すための議論

しがNPOセンター

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• 近江八幡市

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           しがNPOセンター 代表理事
                                 阿部圭宏

 民主主義は多数決で物事を決めるというように単純に理解されていることが多い。そのため、国会においても衆議院と参議院で多数派が異なる「ねじれ」現象をまるで悪のように言い放ち、決められない政治への批判がマスコミを中心に行われてきた。これが昨夏の参議院選挙が終わって自民党の勝利により、ねじれが解消したことでいったい何が起こったか。十分な議論も行われないまま、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権の解釈変更など、まさに多数派の横暴が続いている。これが多数決で決めるとされている民主主義への理解の結果である。

 こうした今の日本の状況を見ていて、本当に民主主義国家かと疑わざるを得ないと感じるのは、何も筆者だけではないだろう。国会中継を見ていても、一国の首相が特定の新聞を名指しで批判したり、野党幹部への献金を下劣な表現で非難するなど、感情的な答弁をする姿は見るに堪えない。国会、特に委員会での質疑は、政策についての議論を深める場であるはずだが、なかなかそうはならない。まして、政権側にスキャンダルが発覚すると、どうしてもその追求に時間がとられがちだ。

 そもそも、日本人は議論が下手だと言われる。このことに関しては、いろんな場面で指摘されていることではあるが、論理が積み上がらず、結果として、議論が成り立たないことがよくある。会議をしていても、特定の人だけが発言し同じ主張を繰り返したり、一方では何も主張しないままにやり過ごす人もいる。こうしたことを改善するために、例えば、市民活動の場では、ワークショップを取り入れて参加者全員での合意形成を目指したり、会議のルールを定めて発言しやすい雰囲気をつくったりと工夫しているケースもある。

 会議を成功させるには、議論の活性化が必要である。これは、何も一般の会議の場だけではなく、政治の場でも当然、議論の活性が求められている。では、どのように議論をしていくか。まずは、対立をむやみに煽るのではなく、感情を抑えて、争点をほぐしていく作業が大切となるだろう。どこで一致点を見つけるか、そこに政治の成熟度が問われる。国会の委員会では、各党の持ち時間が決まっていて、その中でのやりとりに終始してしまうため、議論が十分尽くされた感がない。と言っても、これまで連綿と続いてきた国会の仕組みを変えていくには、相当の努力が必要となる。そこで、対等に議論を戦わせていくには、お互いを尊重する姿勢が必要となる。場合によっては、政権側の譲歩も求められる。こうした一つ一つの努力が合意形成につながるのだ。

 合意形成を目指すことは、まさに民主主義の本義だと言える。もう一つ民主主義を深化させるためには、議会の決定に市民が関われる仕組みとして、議会と市民社会をつなぐ熟議デモクラシーのような発想も必要かもしれない。

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