2011年05月06日
これみよがしに(松本人志)

「ぱっとせんなあ、どっかの誰かが
なんかええ感じにしてくれへんかなあ」
「キンチョール持ちながら言うことでもないけど」
「殺虫剤はキンチョール」
「俺なんでバスの中でキンチョール持ってんねんやろ?これみよがしに」
このキンチョールCMが始まると、つい聴いてしまう。耳にとまってしまう言葉が「これみよがし」。
松本人志さんが照れ臭そうにつぶやく気になるセリフ。「これを見よ」と言わんばかりに当て付けがましく聞こえる。「これを見よ」に続く「がし」によってやわらく話しかけられたようにも思える。更に、キンチョールを持って得意そうである。真に意味深な言葉だ。
「これみよがし」を「これみよ」「がし」に分割してみよう。
「これみよ」とは「これ見よ」とのことで、偉そうに命令している言葉である。この言葉に続く「がし」が中々やっかいな言葉である。「がし」は文語の助詞「かし」の転じた連濁形である。本来「かし」は文が言い切ったところに付いて、強めたり、念を押していう時とか、ときには、やわらくもちかけたりする気持ちを添えるのに用いられる。例えば ‥‥ね、‥‥なあとの意味合いを持っている。助詞で、上の動詞の意味を強める働きをさせる時に使われる。他の例として「聞こえよがし」で「これを聞けよ、とばかりに」の意味である。
コンビダウンタウンのボケ担当の愛称「松ちゃん」が話すから、なんともいえない味が伝わってくる。本人も認める極度の人見知りである頼りない感じと、松本さんらしいナンセンスな面白さが相まって人を引き付けるCMである。撮影は、一発でOKとのこと。
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