彼岸花と金子みすゞ
今年も季節が廻り、何時も通るあぜ道に、彼岸花が咲きました。
この花は、列をなして群生しているのになぜか一輪だけ咲いていました。葉のない茎が伸びその先端に深紅の花が付いています。このように異様な雰囲気をかもし出す姿をしています。お彼岸で墓参りするとお寺の境内に咲いている事が多く、不吉であると忌み嫌われるようになりました。
次第に、死人花、地獄花、幽霊花、剃刀花(かみそりばな)、狐花、捨子花、はっかけばばあと呼んでいます。ところで、彼岸花の花言葉は「情熱」「悲しい思い出」「再会」「あきらめ」など異なったニユアンスもあり、私の好きな花です。
そんな彼岸花を見ると、金子みすゞの「曼珠沙華」という詩を思いだします。

「曼珠沙華(ヒガンバナ)」
村のまつりは 夏のころ
ひるまも花火をたきました
秋のまつりは となり村
日傘のつづく 裏みちに
地面(ヂベタ)のしたに 棲むひとが
線香花火を たきました
あかい あかい 曼珠沙華

この花は、墓地などに見られることが多く、不吉な花ですが、天真爛漫な彼女にとっては、地べたの下に棲む人がたく線香花火はどのように見えたのでしょうか。金子みすゞの独特の切り口で表現されています。
彼女は26歳の若さで死んでいます。
大正12年から昭和4年まで5百十二編の童謡を作り、多くの人に親しまれています。力強い作品の中にも物悲しさと人恋しさがあり、生前から自死を考えていたのでしょうか・・・。現在、童謡詩人金子みすゞは父と共に無縁墓に葬られています。
繭と墓
蚕は繭にはいります
きゅうくつそうなあの繭に
だけど蚕はうれしかろ
蝶々になって飛べるのよ
人はお墓へはいります
暗いさみしいあの墓へ
そしていい子は羽が生え
天使になって飛べるのよ
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