地域に飛び出す公務員を積極的に応援しよう
しがNPOセンター 代表理事
阿部圭宏
「地域に飛び出す公務員ネットワーク」というものがあって、そのメーリングリストには、全国で2500名が登録されているそうだ。日頃、自治体職員と付き合っていると、積極的に地域に出かけるなど現場主義で仕事に取り組むだけでなく、市民活動や地域活動に参加したり、自主的な研修や勉強会を開いたりと、アフターファイブの過ごし方にも常にアンテナを立てている人が結構いる。これは何も自治体職員に限らず、国家公務員の中にも、積極的に市民活動に関わる人もいるので、上記のネットワークはあえて自治体職員にこだわらず、公務員という言い方をしていると思われる。
地域に飛び出す公務員は、われわれ市民にとっては、心強い味方である。こうした公務員が役所にいることで、何か癒着して便宜を図ってもらおうということではなく、市民と行政の対話・熟議の場がつくりやすくなり、協働型の政策形成に寄与できるという可能性があると思われるのだ。というと、飛び出す公務員は市民にとっては非常に頼もしい存在であるが、実は、役所内ではこういう職員が評価されていないケースも結構あるようだ。
地域に飛び出す公務員が役所内で浮いてしまわずに、しかも、しっかりと評価される仕組みを役所がつくることが、まず、大切だと思われる。「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合」という組織があって、56自治体の知事や市町村長が参加されている。首長が応援してくれていることは、職員にとっても頑張ろうという意欲がわくだけでなく、役所内で浮いてしまうというリスクも随分軽減されると思われる。もっと、この首長連合に参加する首長が増えることが期待される。
人事院のデータによると、国家公務員は約64万人、地方公務員は約277万人、あわせて約341万人だそうだ。公務員は日頃バッシングされることが多いが、地域に飛び出す公務員が増えることは、地域がよくなることを意味する。公務員の1割が地域に飛び出すだけで3万人を超える。バッシングしているだけでは、公務員がますます萎縮して市民に近寄らなくなる。ほめて育てるではないが、市民との関係をつくりたいと考えている公務員が地域に飛び出せるような環境づくりを整えるなど、市民がしっかりと応援していくことが大切だ。
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