2015年05月07日

統一地方選が終わって

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• 近江八幡市

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           しがNPOセンター 代表理事
                                 阿部圭宏

 統一地方選が終わった。といっても、首長の途中辞任や議会の解散などによって、統一率というのも回を重ねるごとに低下傾向にあることに加え、マスコミ報道もあまりされないこともあってか、選挙への関心や投票率の低下は目を覆うばかりだ。統一選後半の市長選の平均投票率は50.53%、市議選は48.62%、町村長選は69.07%といずれも過去最低だそうだ。首長選では、国政で争っている政党が相乗りしていることで、市民が関心を失ってしまう場合も多い。

 地方選の問題は、何も有権者が投票に行かないという投票率の低下だけではない。今回は、無投票による当選も過去最高を記録したということから、有権者がそもそも選挙権を行使できないことも考えなければならない大きな問題だ。このように市民の選挙への関心が低い、無投票が多いというのは、選挙制度そのものが持つ欠陥が大きいのではないかと思われる。

 地方議員や首長の選挙も、国会議員の選挙も、すべて公職選挙法で規定されている。公職選挙法では、地方議会や首長の選挙運動期間が短い上、個別訪問や署名運動の禁止など、候補者が自分の公約や人となりをアピールする機会が少ない。それに加え、立候補するには、選挙費用に加え供託金も必要である。ということは、まったく無名の新人は立候補のハードルが高いことにより、結果的に地方の政治人材そのものの沈滞化を招いている。

 有権者にとっても、一般の市議選では、選挙区を設けずに全市一区として選挙が行われるため、そもそも誰を選んでよいのかの判断がつかない。例えば、大津市を例にとろう。今回の市議定数は38人で立候補者が50人、県議の大津市選挙区でも10人の定員に立候補者が13人と、いずれの場合も1人を選ぶとなると非常に難しい。こうした事態を打開するには、選挙区を設けて選択肢を減らすか、複数票を投じる仕組みにするか、極端に定数を減らすかなどの工夫が必要であり、今のままで放っておけば、ますます市民の関心が薄れ、結局は、市民が地方自治に参加しているという主体性を失う恐れがある。

 選挙制度の改正は、これからの地方自治にとってとても大切な視点になるだろうが、地方議員や首長からはそういった声が聞こえてこない。法律改正は国会の仕事であるが、改正に向けた提言を地方から積極的に行っていかないと、首長も議会も議員も市民にそっぽを向かれる。選挙年齢が18歳に引き下げられる好機にも関わらず、地方自治が骨抜きにされ、中央統制が強まることにならなければよいが。

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