ぼかし肥の使い方
2010年02月12日

ぼかし肥の使い方

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nonio

• 野洲市

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 以前、「ぼかし肥のつくり方」について、ブログで紹介しましが、かなり好評であったので、引き続き「ぼかし肥の使い方」について書いてみた。 →ぼかし肥の造り方

 家庭菜園を始めたきっかけは、「自分で食べるものは、農薬を使わず、極力化学肥料も少なくして、安全で、美味しいもの食べたい」との思いから出発した。
 昔食べたトマト。甘いが酸味があり、独特の匂い・固い歯ごたえもあった。何よりヘタ部分からヒビ割れがした野生的なゴツゴツした形をした真っ赤なトマト。旨みがギュット濃縮したトマトをどうすれば作れるのかが原点であった。そのひとつの手段として辿り着いたのが「ぼかし肥」であった。

 最近、「ぼかし肥」の効能が少し分かってきたようだ。
 野菜は、化学肥料を施肥すると直ちに感受して生長する。だが、やり過ぎると非常に濃い緑色になる。過剰の肥料を吸収すると、窒素分が蛋白質になりきれず、有害なアミド・亜硝酸の状態で蓄積される。市販の野菜は、これに近い「メタボ野菜」だ。 しかし、ぼかし肥で栽培した野菜は、淡い緑色である。味も比較すると歴然とした違いが分かる。
 更に、畑の土の匂いが変わってきたようだ。小生が作っているぼかし肥を投入し続けている。森林地帯に入ったときの心地よい匂いと同じである。これは、放射菌が落葉など有機物を分解する時の匂いである。

ぼかし肥のネギの根の発達状態
 さて、同じ時期に植付けたネギである。ぼかし肥を施肥した場合と、しない場合の根の発達状態を比べてみると一目瞭然である。

  左の写真のぼかし肥を施肥したネギは、細根がよく発達している。右の根はぼかし肥を未使用。

なぜ、このような差が生まれるか…。その答えは、「微生物を見方にして、野菜を育てる」ことにある。

 植物の根の周りには、土着の微生物が住んでいる。植物の根にあるアミノ酸などの養分をめがけて微生物がやってくる。微生物は堆肥を食べて、腐植をつくる。その腐植が微生物や植物が分泌する有機酸と言う物質によって土にくっついて団粒が出来る。小さな団子ができあがり、さらにそれらがくっついて大きな団粒を作っていく。団粒化した土壌はふかふかして軟らかく、水を蓄えるとともに、余分な水は除く理想的な土壌になる。植物と微生物と共存共栄した姿である。

 団粒構造では、空気中の酸素が通り、水はけも良い。こうした土中は病原菌や害虫が嫌う環境になり、悪さをする微生物のはびこる余地も少なくなる。土中のこうした良好な環境づくりに目をむけるべきだ。
この状態に作り上げるには年月がかる。ぼかし肥は、悪い土壌を直ぐによくするものでなく、良い土壌を悪化させず、良い状態を維持される方策で、気長に挑戦すべきものである。

ぼかし肥の保管方法
 ぼかし肥は、肥料化学肥料と違って、油カス、魚カスなどの有機質肥料を発酵させてつくっている。つまり、微生物のかたまりなのだ。一説では、ぼかし肥には1g当たり1億個の微生物が生息していると言われている。その扱いは化学肥料と根本的に違うことを認識しなければならない。
土壌微生物は、直射日光に非常に弱い。したがって、保管、施肥にこの点を留意して処置が必要になる。

小生、ぼかし肥は、ハエなど害虫が少なくなる厳冬期育に作りこみ、その保管は遮光される黒ポリ袋90リットル(900X1000)を二重にして、1年分を袋詰め保管している。そして微生物が休眠出来るように大型の専用ボックスに保管している。写真は、半年後、黒ポリ袋を開けた状態ある。

ぼかし肥の配合比率2種類を準備
 ぼかし肥は、各野菜に合った肥料が作れる利点がある。葉や茎を育てる窒素成分、身を育てるリン成分、根を育てるカリ成分の比率を変えて配合すれば、自分好みの肥料が出来上がる。
 材料からすると、窒素は、有機質材料には含まれているので、問題がないが、リンは、植物質の肥料に少なく、カリは、魚かすには少ないので、植物・動物の肥料を組み合わせることになる。

 基本的には下記の2種類であるが、状況に照らし合わせてもみがら、クン炭、草木の灰、骨粉、腐葉土など適宜配合比を変え試している。
 こめぬか・油かす・魚かすを1ℓ容器で、一般配合比率は、5回:4回:1回の割合である。スイカ・イチゴなどには、4:4:2とし、魚かす比率をかなりあげ、油カスを控える。
仕上げに、くん炭(数%)を混ぜ込み、袋詰めするが、始から添加させることもある。くん炭入りぼかし肥は、根の伸びだしがよく、細根の発生が多くなるので、必ず使用している。

施肥の方法 
 施肥には、元肥と追肥とがある。基本的には、ぼかし肥は化学肥料と比べて長時間効くので、元肥をしっかりとやり、追肥は野菜別に補足的にやる方法をとっている。ぼかし肥の肥効は2~3月あるので、それより長い栽培の場合には、茎の近くに穴を掘って埋め込む。

 小生の畝幅は、約1.2m程度にしてあり、この真ん中に50~60mm溝を切って、まず切りわら・完全に枯れた雑草などを適量施し、そこにぼかし肥を畝1m当たり最大400gを目安に施肥している。
素早く、土を被せて直射日光を遮断する。特に、雨等に打たれると露出してくるので、しっかりと被せる方が無難である。
 追肥は、畝の端にところどこ50mm以上の穴を掘り、一握り埋め込む。ぼかし肥は、植物に優しい肥料なので肥料傷みは滅多にないので、施肥箇所に神経質になる必要がない。尚、ぼかし肥では、燐成分がどうしても不足気味になるので、化学肥料過燐酸石灰を畝作りの段階で全面に施肥している。化学肥料については、ぼかし肥だけでは養分が不足するので、各野菜の生長にあわせて適宜やっている。

 また、施肥した時のおよそ重量を知っておく必要がある。小生、ひと握りで約30gである。チッヤク付きビニール袋(幅7cmX縦10cm)に詰め込んだ重量もひと握りと同じ約30gである。


写真1に示したように
              10cmX14cmーー約 90g~110g
              12cmX17cmーー約200g~220g

       溝きり          わら・ぼかし肥       埋め戻し

まとめ
 少し野菜作りを経験すると、野菜の育っていく姿をみていると、「今、この野菜は肥料をほしがっているのか、水がほしいのか、害虫に困っているのか…分かってくるものです」。つまり「野菜は、足音で育つ」とよく言われるが、野菜は主が来るのをいつも待っているのだ。

 例えば、白菜、キャベツ、スイカなど大型野菜は、肥料の吸収力が強い。見たからに多くの肥料を要求してくる。それもコンスタントに。イチゴなどは、株は小さいが、赤い果実を付けると魚かすをねだってくる。ジャガイモなどイモ類は、肥料をいくらでも吸収してしまいメタボになる。肥沃な土では大味だ。玉ねぎは、2月以降も肥料をやり続けると肥大化するが、引き締まっていないので、腐りやすい。

 野菜にはそれぞれ野菜特有の個性があり、肥料はやり過ぎても少なすぎてもいけない。失敗を重ねて施肥の仕方を覚え、自分流の野菜に仕立てあげることが、面白くもあり、楽しい。

 まず、その野菜の個性をつかみ、育て方のイメージを思い浮かべ、それに見合った肥料の効かせ方を考えることが何より大切だ。

参考
 野菜の生育は種類ごとに、あるいは品種によっても違いますが、大きくは3つのタイプに分けることができる。(農山漁村文化協会編集部参考)

●尻上がり型 初期をゆっくり育て中期から後期にかけて尻上がりに肥料が効いて、根や果実の肥大期から収穫期まで草勢が維持されるようにもっていきたいタイプです。スイカ、カボチャ、ダイコン、ゴボウなど、生育期間が長く、収穫が比較的短期間に行われる野菜の多くはこのタイプに属します。 元肥(特にチッソ)を少なくし、追肥に重点をおくことになりますが、後半の追肥は葉が繁茂していて施肥し難く、効かせ難いものです。 そこで待ち肥として根から離れたところへ堆肥とまぜて施します。●コンスタント型 収穫期間が長いナスやキュウリなどの果菜類や、生育期間の長いネギは、コンスタントに生育し、肥効を維持しなければなりません。 初期は比較的じっくり育てて、根づくりをしっかり行い、それを土台として収穫期の草勢を長期に持続することです。土台がしっかりしていればリンサンの追肥が生きます。 中~後期にこまめな追肥をすれば、樹を長くもたせることが可能です。●先行逃げ切り型 初期からテンポよく育てることが大事な野菜です。ホウレンソウ、レタス、コカブなど生育期間が短くいっせいに収穫する野菜が、このタイプに属します。これらは後半にチッソなどが効き過ぎると品質が悪化するので、元肥が主体です。

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