「唐から来た辛い」シシトウあれこれ
2013年09月03日

「唐から来た辛い」シシトウあれこれ

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nonio

• 野洲市

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 春になると、トマト・ナスビ・シシトウそしてキューリの夏野菜を、毎年植えつけます。 7月になるとキューリが蔓からぶら下がり、ナスビも実を結びかけます。そして真っ赤に熟れたトマトが最盛期を迎えます。
  そんな中、夏野菜がすこし陰りを見せるころ、太陽をいっぱい浴びたシシトウが、旬を迎えます。丁度その頃、盛夏となり、人様は暑さに「ぐったり」と夏バテを起こして、食欲も減退してきます。こんな時、獅子唐は持ってこいの食べ物なのです。暑さにもめげず次々と実をつけていきます。2~3本あれば、一夏分は十分にまかなえます。唐辛子特有の成分カプサイシンは、新陳代謝を促し、脂肪燃焼効果があり、免疫向上、疲労回復、老化防止、美肌効果などの効用がある優れものです。

 普段「シシトウ」と言っていますが、本当の名前は、獅子唐辛子。このシシトウの先端から眺めてみますと、ごつごつした形が、神社の狛犬の獅子の頭に似ています。辛いことを強烈に引き出す言葉の「獅子」の文字があてがわれたのでしょう。 唐辛子は「唐から来た辛いもの」という意味です。豊臣秀吉が朝鮮出征の際、持ち帰ったと言われています。
 唐辛子の原産地は中南米ですが、これをスペインに持ち帰ったのが、1492年新大陸を発見したコロンブス。その後、瞬く間に世界を一周して日本に伝来しました。世界各国へ普及したのは、料理に辛さと言うインパクトを与えることから、広まっていきました。

 ところで、私が栽培しているシシトウの品種は伏見甘長です。辛くないシシトウだから、「辛い」の反対語の「甘」の漢字をあてがわれました。 元々、この辛さ故、世界を席巻してきたのに、今更「甘」とは誠に妙なものです。

 ハウス栽培なども進み通年出回っています伏見甘長・満願寺は、辛いもが滅多に混じっていません。辛さもまったくない、ただの野菜と見分けがつきません。

伏見甘長の栽培

 私の家庭菜園では、時折、辛いものが混じっています。火が噴くほどの辛さではどうしょうもありませんが、口の中で「ぴりっと」辛さを感じる程度の辛さは、暑さにぐったりとなった体には、刺激を与えられて、食欲も増すというものです。元来、獅子唐に備わっていた野性を少しだけ引き出して、市場に出回らない自前のシシトウを重宝しております。
 至れり尽くせりのすくすく育てるのでなく、時たま、水分を切ったり、肥料を少なくしたりしてストレスを与えると、先祖返りして辛味を持ったものが出来上がります。これは、人の生き方にも通じているようです。

 辛いシシトウの見分け方として、中身の種が少ないのは生育が悪く、実が辛くなることは知っていました。小ぶりで、形が曲がったりして、触って種の数が少ないものにより、辛さの尺度としていました。

 さて、辛さは、どこの部分なのか、試食して確認してみました。今まで、てっきり、種が辛いと思っていました。が、そうでなく、綿状の胎座が最も辛いことを知り驚きました。種が辛いと言われますが、そうではありませんでした。

 最後に、この植物は、この辛さの成分カプサイシンを持つことにより、昆虫などから身を守る術を身に着けたようです。こんなことをして動物が嫌がって実を食べずに種をまきちらしてもらえないかと思われるのですが、そこは、自然界うまく出来ています。

 唐辛子は人の手により、地球上に繁殖しています。 人は、この辛さの中に旨みを見つけ出し、至る所で栽培されています。結果論かもしれませんが、唐辛子の子孫繁栄には、昆虫でなく、辛さを好む人と言う動物を介する深い戦略があったかもしれません。

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