避難いつ解除されるの
2011年04月02日

避難いつ解除されるの

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nonio

• 野洲市

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 双葉町は人口約6900人。全域が原発事故の避難指示圏に含まれているため、震災翌日の12日に、井戸川克隆町長をはじめ多くの町民が福島県川俣町に一時避難した。「より安全な地域に移りたい」との声が上がり、自治体ぐるみの異例の県外避難を決断。

 19日、双葉町民を乗せたバスなど約70台が約200キロ離れた埼玉県の「スーパーアリーナ」に避難してきた。大半はマスク姿で、大きなリュックを背負ったり毛布を抱えたりして。「不安な毎日だったが、埼玉県知事をはじめ、みなさんから温かいおもてなしをいただいた」。井戸川克隆町長(64)は、ほっとした様子を見せた。
 ところが、30日、アリーナの使用はイベント開催のため31日までとなり、再び埼玉県加須(かぞ)市の旧県立高校舎への移転を始めた。

 双葉町は、原発事故に翻弄され、いつ戻れるかの「めど」も立たず、居場所を求めて転々としている。

  東京電力の勝俣恒久会長は、30日記者会見の中で、 
  「福島県民の避難状態はどのぐらい続くか」の質問に。
 「私自身の見解では、数週間では厳しいのではないか。大変申し訳ない」との返答であった。

 最近、枝野官房長官もしかりよく分からない日本語が使われ閉口する。
「数週間では厳しい」とは、数週間以内ではない。だが、避難状態が数週間で解決するとも言ってない。いかようにも解釈できる言葉である。あえて、数週間と言う数値を出したことから、避難している期間は期待も込めて1ケ月程度を「めど」としているのであろう。

 戻れる「めど」とはどのようなことなのだろう。それも、廃炉するまでの何十年の見通しでない。原子炉が「ひとまず安全なる状態」になることを会長は意図したのであろう。

 つまり、原子炉を「冷温停止」状態にすることだ。核分裂生成物による崩壊熱が出続けているので、100度を超える高温になっている。これが、圧力容器内の冷却水の温度が100度未満になると「ひとまず安全なる状態」になると言われている。

 要するに、福島第一原発に恒久電源が通じて、緊急炉心冷却装置さえ稼動すれば1~2日で核燃料が冷え、冷却水の温度が100℃未満の安定した状態になる 。循環・冷却システムが復旧できれば、燃料棒の一部が溶け出すこともなくなり、核分裂際の放射性の「ヨウ素」「セシウム」が拡散しなくなる。これが、会長の発言した退避期間の筋書きのように思える。

 でも、この「ひとまず安全なる状態」に持ち込みたいのだが、次から次へと想定外の事態が発生している。現在、多量の発生した「汚染水」の水抜きに手間が食っている。

 復旧対策が手詰まり状態になり、仮設ポンプによる注水に頼る最悪のシナリオでは、「最短1~数ヶ月」と専門家は予測している。中には1年の時間を要するとの見方も出ている。注水だけで核燃料を冷やさざるを得ない場合、京都大の宇根崎博信教授(原子力工学)は、「1年後には崩壊熱は現在の5分の1程度にまで小さくなる。そうなれば、原子炉を満水にして、蒸発で減った分だけ水を補給する安定的な冷却が可能になる」と指摘。

 仮に、設備的に原子炉が「ひとまず安全なる状態」になっても、既に、水素爆発の際に起こった土壌汚染・更に海洋汚染・地下水汚染が深刻な状態に陥っている。本当に、住民が戻れるのであろうか。いくつもの高いハードルが待ち構えているように思う。これらの総合的な観点から、事態を収束するための「めど」を示してもらいたい。

 政府は「福島第1原子力発電所の半径20キロメートルから30キロメートル自主避難を積極的に促進する」指示をした以上、東電に任せるだけでなく、政府自ら避難解除に向かっての「めど」を示すべきである。

 日本の原発は安全性で世界最高水準と評されていたが、事故発生後、既に3週間ほど経つ。一向にらちがあかない日本を見かねて世界から集まってきている。
フランスのサルコジ大統・仏原子力大手アレバの事故対策のため来訪、領放射線管理や放射線被害に関するノウハウを持つ米海兵隊の専門部隊140人が近く来日。この際、総ての英知を集約して解決されたい。福島第一原子力発電所の事故は、日本だけの問題ではない。世界の原子力平和利用の行方がかかっている。

補足

 制御棒が装填され、核分裂は止まったが、炉心の燃料棒内の放射性物質は安定した物質に変化する過程で「崩壊熱」を出し続けるやっかいな代物である。 専門家がよく口にするのが「崩壊熱は、停止直後は、運転時出力の6%との試算がある。1日経過後には運転時出力の2%を切るが、そこからの減少ペースは非常に緩やかで1年後には0.2%程となる」。このため、「発熱してくる熱は冷却水によって逐一逃がしていく冷却装置はまさにこのためのものである。また、使用済み核燃料は、崩壊熱が収まるまで数年間水槽内に保管されている」と説明されている。

 だが、福島原発では地震に続く津波によってこれらシステムが正常稼動できなくなり、この崩壊熱の除去が困難になったのだ。この結果、燃料棒が加熱、ジルコニウム被覆が水蒸気と空気で酸化して、水素を放出し、そこに引火して爆発後、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムといった放射能を飛散してしまった。

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