美味しいトマト作りニラと混稙

　今年2月のことだった。「トマトにメタボ改善成分」の見出しが新聞やテレビで一斉に報じられた。河田教授らは、トマトに脂肪燃焼効果を持つ脂肪酸の一種が含まれていることを発見。　このニュースに世間の反応は早かった。全国のスーパーマーケットの棚からトマトジュースが消えてしまった。この話、つい最近であった。が、いまでは、品不足との話はきかれない。世間は移ろいやすい。　この話、どちらでも良い話だが・・・。従前と変わらず、｢私、つくる人、妻、食べる人」。でも、変わったことがある。小生、根っからトマトが嫌いではなかった、今では進んで頂くようになった。

　小生にとって、大玉の桃太郎トマト作りは、家庭菜園の種類の中で難しい部類に入る。最近５年間を振り返っても、満足にできた年はわずか１回か２回程度。　工夫を凝らしているのだが、中々言うことを聞いてもらえない。駄々っ子である。　でも、「初めてトマトをつくったというのに、一杯出来た」と自慢話をているのを聞いたことがあった。どうも、トマト作りは、何も分からない初心者に向いているのかも知れない。肥料・水もやらないで粗野に育てる方が、うまくいくようである。初めて作るので、土も新しく連作障害もない。無論、本人も、このことも知らないのだが・・・・。

　小生、毎年、悪戦苦闘している。長雨になって「青がれ」してしまったり、これからと言う時に、一本の苗がモザイク病にかかり、それが、感染伝播して全滅したり、何かと問題を引き起こしてきている。兎角、トマトは病気にかかり易い、厄介な植物である。

　さて、園芸サークルの先生Ｔ氏、「トマトにニラを混稙させるとトマトの味が良くなる」と言うのである。味が良くなるとなれば、この話、ほっておく訳にはいかなかった。

　早速、トマトの根とニラの根を絡ませて植えつけた。　

　　　　　　　　　　　　　　　　トマトとニラの混植

　一般に、同じ植物同士でも生存をかけて競合しあうものである。異種植物であれば、なお更、しのぎあう。よりによって、トマトとニラは姿・かたちが余りにも違いすぎるだろう。似ても似つかない組み合わせであると思った。
　だが、こんな心配事を吹き飛ばすように順調に育っていった。
　トマトはどんどん生長していく中で、ニラはトマトを見上げるように見守っていた。よほどこの二つ植物、相性が好いのであろう。病害虫を防いだり、成長を促進したり、風味や芳香を良くしたり等、助け合って生きているようである。

　３段までの果実は苗の力でなると言われている。それ以上を育てるには、栽培する人の腕と言われている。精々、５～６段程度と思っていたが、ドンドン生長し、８段まで登り詰めた。
　１０本、一本も欠けることなく、最高の出来となった。　今年は天気回りも良く、梅雨時期に長雨にならなかったことも、味方にしたようだ。

　トマトの気持も少し分かってきた。アメリカのターシャ・テューダーさんが言っているように「あの花が水を欲しがっていると思うと水をやりに行かないではいられません」。
この言葉が本当かなと以前、半信半疑であったが、この頃、何となくわかるようになってきた。
　トマトは 日照り草といって多少乾燥気味が良いのだが、過酷な夏の高温にさらされると。時折、水をほしがる時がある。このタイミングを見計れるようになった。

　美味しいトマト作りのひとつのコツとして、水が少ないと濃くて甘いトマトが出来る。基本的には水をやらないことだ。

　もうひとつ、肥料のコントロールもうまくいった。畝には事前に施肥した窒素肥料が多めになったため、幹が太めになり過ぎた。このメタボを解消させるため、長らく施肥をしなかった。実が結び、かなり大きくなってから、自前のぼかし肥をしっかりとやった。化学肥料は「過リン酸石灰」だけ。なお、トマトを植える畝には、事前に小松菜など葉っぱ類を植え付け、窒素肥料を除いていたのだが、今回は間に合わなかった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８段目のトマト結実

　トマトは畑で、もぎたてを食べるのが一番。冷やしすぎると、甘味が感じにくいが、そのまま食べると酸味の利いた中に、甘さも感じる。野性味クセのある複雑な風味が鼻に抜ける香りがたまらない。こんなぎゅっギュッと詰まったトマトが採れて満足している。　トマトとニラのコンパニオンプランツ手法が利いて美味しくなったのであろう。　

　幼少のころ、太陽光をさんさんと浴びた完熟トマトを井戸の手動ポンプで｢ガチャンガチャン」と水を汲み上げ、ほどほどに冷やして食べた懐かしい味を想い出した。